家政婦は見た――ならぬ、もふもふは見た!
- ★★★ Excellent!!!
主人公の梨紗(24)は気付いた時には異世界に転移しており、しかも猫の姿となっていた。彼女は猫として自由気ままに異世界を旅しつつ、様々な出会いと別れを経験していく。
まず特筆すべきことは、ひとつひとつの行動描写が実に猫らしいことです。現実に猫と暮らしている私は、「あ~、それするする!」と何度も思いながら読ませていただきました。彼女は人間の心を持ちつつも身体は猫のため、猫らしい本能に逆らえず動いてしまうことがあり、それがとても微笑ましくクスリとさせられます。
彼女は猫なので人語を発声できないため、ただ横に居て猫の目を通して人間模様を観察することとなります。その人間模様もなかなか複雑に練られており、猫でなくとも解決が難しい場面に猫として立ち会います。それで言葉を話せないことにじれったく感じる時もありますが、猫としてやれることを成し、ベターを目指す彼女の姿はとても素晴らしいものです。
もふもふは正義!とばかりに猫に優しい世界ですので、彼女含め猫たちが理不尽にひどい目に遭ったりはしないため、猫好きの方も安心してご覧いただけます。
さあ、皆様も猫となって異世界を旅してみませんか?