本作は20世紀前半頃の世界情勢をベースにし、SFファンタジー要素(魂の転生、ロボなど)を取り入れた世界観となっています。
戦記物らしく序盤は少々難しい世界背景の説明があるため、ここで脱落してしまわれる方も居られるかもしれませんが……もったいない! それは本当にもったいないことです!
一度この細部まで作り込まれた世界観を理解すれば、世界を股にかけて戦う彼女達の熱いバトルを心ゆくまで楽しめることでしょう。
特筆すべき点として、まず戦闘描写が実に美しくかつ分かりやすいことです。まるで映画を見ているかのように、読者は本当にその場に居て戦っている気分になれます。特に作家の方は間違いなく勉強になる、最高水準の戦闘描写でしょう。
また、何と言ってもキャラ達の掛け合いが本当に素敵であり、互いのことを良く理解した上での端的でシニカルな台詞は心地よく、その完成度の高さに鳥肌が立ちます。まさに作者様の類まれなる文才が為せる妙技と言えます。
主人公のジゼルは古風な武士道一徹のイケメン女子であり、敵をバッタバッタと容赦なく切り伏せる腕っぷしもさることながら、その気風の良い性格や意思を貫き通す熱い生き様に感銘を受けることかと思います。そのようなイケメン女子でありながらも、たまーーーに可愛らしい乙女なところも見せてくれたりもするので、本当にニクイ子なのです。
彼女の相棒となるリベルギントは猫に入った超越的な存在であり、初めは人間味が無くぶっきらぼうで冷めているのですが、ジゼル達と共に過ごすことで次第に人間を理解していく過程が、読者という人間としてとても嬉しく感じられるでしょう。慣れてきた頃には、二人の噛み合ってないようで噛み合ってる夫婦漫才が随所で見られ、最高にニヤニヤできます。
他にも、個性溢れるキャラが沢山居るのですが、それぞれ一人の人間としての人生が見えるほどリアルに背景が描かれており、それゆえに彼らが織りなす人間模様が泥臭くも美しく映るでしょう。
さあ、あなたもこの重厚なロボ猫ファンタジー世界で、魅力的な彼女達と共に世界を冒険しましょう!
実験的ロボット兵器の「リベルギント」と、文字通り深くつながり生き様を共有することになる軍人少女・ジゼル。
さらに、リベルギントの猫化まで登場し、ここに「猫とロボと美少女」という、珠玉の本格エンタメ世界大戦が誕生です!
兵器のシステムから世界情勢まで、戦闘描写からキャラクターたちの熱い心理描写まで。
アニメにうるさい大人たちをも唸らせるであろう、卓越した文章力、迫力ある個性的な言葉の数々が魅力です。
ジャンルは異世界ファンタジーですが、壮大なSFと言ってもいいでしょう。
美女たちとロボットと軍隊による、読み応えある歴史絵巻と、猫がお好きな方にお薦めです!
さらに、作者の他の作品にも多数リンクしていますので、楽しみがどんどん広がること間違いなしです♬
この物語は、世界大戦を繰り広げる世界で闘う女性達の物語です。
主人公ジゼルの潔い格好良さにまず魂を持って行かれ、共に闘う実験兵器リベルギントの圧倒的なバトルシーンに魅せられてしまいました。このリベルギントは魂を持ち、視覚情報を猫に頼るという設定もまた面白い。
登場人物達も個性的で、重くなりがちな戦争物のストーリー展開を笑い飛ばしてくれるのです。
ストーリーの基盤となる世界観も、細部まで描かれており、実際に世界中の紛争の中で垣間見えるような残酷なリアルさも感じます。だから、最後までしらけること無くこの世界に没頭できるのです。
圧倒的な文章力で描かれる、色鮮やかな物語。おすすめです!
読み終えて、感嘆の溜息が出ました。
素晴らしい良作だと思います。ロボット戦記やファンタジーを求めている方の手に届いて欲しい、本当に良い作品です。
まず、ストーリーがすごくしっかりしています。面白いですし、途中で落ちたりするとなく、真っ直ぐ走り抜けてくれるので、物語によくある趣旨からの逸脱や、最初はこうだったのに…というのがありません。最初から最後まで、楽しめます。
主人公、ヒロイン、兵器リベルギント…誰をとっても濃いキャラクター。(お上手なイラストもあり、視覚的にも楽しめます!)
世界大戦の戦記物ということで、政治関連の話、情勢の話、といった細かいところまで作り込まれており、幾度もその緻密な世界観の設計に驚かされました。
話そのものを楽しく読ませてくれる一方で、風刺的な部分や、社会や個人が抱える問題について通じている部分があり、とても考えさせられました。
二つ目に、バトルシーンと、情景や心理の描写です。美しい言葉で紡がれる舞台は、驚くほど自然体で、綺麗です。読者にありありと情景を浮かばせる作者さまの技巧は、素晴らしいものでした。
バトルシーンは圧巻なので、ロボット系のバトルが好きな方は、一読して損はないと!
そして、私が一番おすすめしたいのが、キャラクター達のセリフです。
本当に素晴らしいの一言に尽きます。
地の文も素晴らしいのですが、セリフに感動させられるシーンが何度もありました。面白い言葉回しだったり、皮肉がユニークだったり、心に染みる言葉だったり。
リズム感と選ぶ言葉がいいのでしょうか? キャラクター達が発する言葉は、彼らにぴったりでいて、とても心に響く。
ぜひ、ご一読を。
この物語、タイトルからは、その真髄にたどり着けない。
端的に表現すれば、人型機動兵装(ロボ)を相棒にして戦う少女の、とある世界での世界大戦記と、目新しさを特に感じる要素は無いのですが、そのロボ「リベルギント」には魂が宿り、数多の猫を使役するとなると、おっ?となる。
さらに、剣戟、戦術と戦略、史実としても遜色ない世界観、そして魅力的な登場人物たち。
何より言葉、文字の使い方が特徴的で、そこに慣れると俄然、物語の続きを急くほどに没入してしまう。
戦史故に、容赦のない描写もありますが、そこに生きる人々の覚悟も凄まじい。
ただ、リアリティを通し過ぎて、陰惨な物語かというとそんな事はなく、エンターテイメントとしての笑いや涙、生々しい欲望も見え隠れする。
見せ場は、戦闘シーン。
リベルギントはアップルシードのギュゲスや、サクラ大戦の霊子甲冑といったサイズ。
剣で、銃で、巨砲で戦う場面での描写は、振るわれた刀の風圧すら感じられるほどでした。
さて、猫の手も借りる?
何のこっちゃ?と疑問に思われたなら読み進めてみてください。
ああ、こりゃあ自分も借りたくなるわ!
少なくとも私は強く、そう思うのです。