女商人リツと、面白くてためになる商売の旅に出ませんか?
- ★★★ Excellent!!!
女商人リツは、とある取引のため、騎士タルワールを護衛として雇い旅立ちます。
商人らしく実利主義のリツと、騎士らしく理想主義……かと思いきや意外と柔軟な思考の持ち主タルワール。二人の価値観の違いがとても明確に描かれていて、一貫したキャラクター設定に説得力があります。価値観はともあれ、性格は意外と合う(ように見える)二人が少しずつ絆を深めていく姿はなんとも微笑ましいですね。ニヤニヤしてしまいます……!笑
また、タイトル通り拝金主義(!)なところのあるリツですが、旅を通じて次第に人間的に成長していく様子に、彼女を心から応援したくなりました。
この物語の魅力はたくさんありますが、メインの題材は金融・経済です。
物語はもちろんフィクションですが、現代世界経済の問題点とも重なるものが描かれている気がします。
きっと、作者様は知識が豊富な方なのでしょう。詳細な知識に裏打ちされたリアルな展開で、物語を通じて金融の素晴らしさや恐ろしさ、醜さも感じられます。そして、そんな感情への一つの向き合い方も描かれています。
とはいえ、細かな金融理論がわからなくても、問題ありません。むしろ、ところどころで説明を挟んでくださるので、知らないことを知る楽しさを味わえるはずです。
経済・歴史・地理と多岐に渡る「補足」ページも勉強になりますね!
色々書いてしまいましたが、一言で言うと純粋に面白いです。ぜひご一読くださいませ!!