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 強制的に書き換えられた世界に、鳥達が驚いて狂ったように鳴いている。そんな中を勝手気ままに舞った宵闇色のドレスは、サラリと微かな音を立てながら埋葬地に崩れ落ちた。


「……また、振られてしまったわ」


 少女は高すぎるヒールでカツリ、コツリと地面を叩きながらドレスに近付いた。膝を折ってドレスを手に取った少女は、ギュッとドレスを胸に抱きしめる。


「食べることをやめ、眠ることをやめ、息をすることさえやめても、……貴女は、書くことだけはやめられないのね」


 ここは、絶望の箱庭。己の業に取り潰された人間達が堕ちる先。


 最期の最後の、さらに先。


「それでも貴女は、それでいいと、笑うのね」


 この箱庭の管理人である少女は、宵闇色のドレスを抱きしめたまま膝を上げた。


「……でも、いいわ。私は、ずっと待っているもの」


 その空を眺めて、少女はそっとわらう。


「貴女が再び、この世界デルニエの箱庭に堕ちてくる、その日まで」

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デルニエの箱庭 安崎依代@『比翼は連理を望まない』発売! @Iyo_Anzaki

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