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「デートじゃないの?」
くすくすと笑いながら、面白がっている雰囲気を出しながら、松は言う。
「調べ物だよ(!!)」
と今度も宝と(顔を真っ赤にしている)竹は二人で一緒にそう言った。
そんな二人のことを不満そうな顔をして見ている福と苦笑いをしている雀が「そうだよ」と二人で一緒にそう言った。
「なんだ、違うのか。竹ちゃんは竹宮神社の伝承を調べにきたって言うし、福ちゃんたちは二人で一緒に楽しそうに桜を見ていたから、てっきり二組ともデートだと思っちゃった」と松はいう。
「え? それってどう言う意味?」
と(ようやく普通の顔に戻って)竹は言う。
「どうって、だってそれは家の実家の竹宮神社の伝承っていうのは、『はなればなれになっていた二人が出会って、お互いの秘密にしていた恋の叶う恋愛成就の伝承』だから」
と松は言った。
その松の言葉を聞いて、「え!?」と今度は福と竹が二人で一緒にそう言った。
あなたの恋が叶いますように
「はい。どうぞ」
そう言って松は四人にお茶とお茶菓子(綺麗な和菓子だった)を出してくれた。
「どうも」
「どうもありがとう」
そう言って四人は松にお礼を言った。(松は嬉しそうな顔をする)
五人は場所を変えて、竹宮神社の横にある松の家にお邪魔をしていた。そこにあるお茶の間に通された四人は大きくてへんてこな形をした立派な木のテーブルを挟んで、竹と雀。福と宝の二人に分かれて柔らかい薄紫色をしたふかふかの座布団の上に座っている。
四人にお茶とお茶菓子を出し終えると、松は一人、テーブルの前に座って、そこから四人の顔をゆっくりと見た。
四人はみんなそんな松のことをじっと見つめていた。
「さて、それでは、竹宮神社の伝承について、お話をします」と一度、こほんと咳払いをしてから、松は言った。
「よろしくお願いします」と宝以外の三人が(とくに福と竹は顔に力を入れて)そう言った。
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