7
竹宮松
……なにしに来たのよ?
日曜日に二人は約束通りに竹宮神社に出かけた。竹は結構頑張っておしゃれをしたのだけど、笹野くんはいつもと同じ普通の格好だった。(竹は白いワンピースに桃色のカーディガンをきていた。笹野くんは黄緑色のチェックのシャツと青色のジーンズだった)
その目的地である竹宮神社には、竹と笹野くんの六年一組の教室と同じ教室に通うクラスメートの女の子がいた。
その女の子の名前を『竹宮松(たけみやまつ)』と言った。
松と竹は、小さなころからの友達同士であり、一番の親友でもあった。二人は名前も似ている(竹と松。……梅ちゃんはいなかったけど、梅という名前の子が近くにいたら、きっとその子とも、私たちは仲良くなっていたと思う)こともあって、(その話で盛り上がって)すぐに友達になることができた。松ちゃんは、少し気が強いけど、真面目で、優しい、めがねをかけたとても、可愛い子だった。
「……なによ」
珍しい赤と白の巫女服姿の松を見て、竹と笹野くんは目を丸くして驚いた。
「そんなに、じろじろ見ないでよ。恥ずかしいな」
と、その白い顔を真っ赤に染めて松は言った。
「松ちゃん。お仕事手伝っているんだ。えらいね。巫女服かわいいよ」と竹は言った。
「……お父さんがそろそろ、手伝えって。これでも、本当は遅いくらいなんだって」と顔を赤くしたまま松は言った。
それから松はじっと、睨みつけるような敵意を持った目つきで、笹野くんのことを見た。
「えっと、こんにちは、竹宮さん」
笹野くんは冷や汗をかきながら、松に挨拶をする。
でも、松は笹野くんい挨拶を返さない。ぷいっと横を向いて、そのまま竹ぼうきをせっせと動かして、境内の掃除の仕事をまた初めしてしまった。
笹野くんは竹を見て、苦笑いをする。(竹も、愛想笑いを笹野くんに返した)
まあ、こうなることはわかっていた。実は笹野くんと松ちゃんはあんまり、仲が良くないのだ。(二人は喧嘩ばかりしていた。主に松ちゃんが怒っているのだけど)
本来、竹宮神社の伝承を一緒に調べるのなからパートナにー選ぶべきは、間違いなく竹宮神社の一人娘である松ちゃんなんだけど、笹野くんが松ちゃんではなくて私(竹)をパートナーに選んでくれたのは、きっと、松ちゃんに頼んでも「いやだよ。絶対。絶対にやだ」と言って断られる可能性がすごく高いと思ったからだと竹は思った。(その予想は、きっと当たっていたと竹は思った)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます