第4話 Happy christmas(4)
「結婚したらな、女だけが生活スタイル変えなアカンなんてこと。 不公平やん。 加瀬は専業主婦やないし、ちゃんと働いてるし。 そういう意味ではダンナと対等やろ? あんたがムリに高宮に合わせる必要はないよ、」
南は早口でそう言った。
「そうですかねえ・・」
夏希はまたはあっとため息をついた。
「高宮さんは加瀬さんを独り占めしたいのね。 すっごく思われてるんやなあって、」
萌香はやんわりと笑顔で高宮を庇った。
結局。
友達との約束は断らなかったが
何となく高宮とはそっけない感じになってしまった。
口を利いてくれないとかそういうのではないけれど
あんまりしゃべってもらえない・・
夏希は自分なりにいろいろ考えた。
隆ちゃん、きっと楽しみにしてたんだろうなー。
あたしだって去年のイヴのこと
忘れてたわけじゃない。
すっごく大切な思い出だって思ってる。
でも。
それを『記念日』にしようだなんて思わなかった。
「なんや、結局。 24日は空いたんかい、」
志藤は高宮のデスクのスケジュール表の24日の欄に外出と接待の用事を入れているのを見て言った。
「・・・・」
高宮は何も言わず
ジロっと志藤を睨んだ。
「・・なに??」
思わず後ずさりしてしまった。
しかし
すぐにまたデスクの上の書類に視線を移した。
わかってるけど。
おれが『そういう』彼女を選んだんだってこと。
彼女はまだ26で。
今の26の女の子なら結婚するのも早い方だと思う。
現に彼女の学生時代の友人で
結婚している子は、ほとんどいない
と言っていた。
独身の友達たちと遊ぶことが
すっごく楽しいってことも
わかる。
彼女はあんまりものごとを細かく考えたりしない。
そして深くも考えていない。
無神経だなと思うこともあるし
それが彼女のいいところでもあるとも思う。
結婚する前から
自分のことを一番に思ってほしいって出来事が何度かあって。
そのたんびに自分と彼女の気持ちの温度差を感じていた。
夏希は大切な人たちに順位なんか全くつけない。
おれが。
彼女を縛り付けているのかな
なんて思ったりもする。
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