第7話 Happy christmas(7)
「もうバタバタするな! 埃がたつ!!」
八神は隣のデスクの夏希が7時を回ったころから、騒がしくなりイライラした。
「え? だって! この前の見積りがどっかいっちゃって!!」
ファイルの山をあっちにやったりこっちにやったり
その音がうるさくてかなわなかった。
「どっかいっちゃって!って。 おまえがちゃんとしてないからだろっ! 人に当たるな!」
八神の抗議も全く無視で夏希はとにかく焦っていた。
早く
早く・・
高宮もたいていは真太郎と一緒に外出や社長室に籠ることが多いので
事業部と秘書課ははす向かいにあるのだが
夏希と社内で会うことは実際にはそんなにない。
そーっと秘書課を覗いて
高宮のデスクがまだ片付いていないことを確認した。
几帳面な彼は机の上が乱雑なまま帰ることはしない。
よし! まだいる!
夏希はひとり頷いた。
「・・んじゃ。 お先に失礼します。」
そして、事業部にちょっとだけ顔を出してあわただしく出て行った。
高宮はそのあと、真太郎と共にホテル事業の事務所に顔を出したりして
帰宅できたのは9時を回っていた。
そういえば
『今日はがんばって早く帰ります』
今朝の夏希のメモを思い出した。
まあ
彼女なりに帳尻合わせをしようと思ってくれてんだろうな。
おれもいい加減
彼女に『慣れ』ないとな。
小さなため息をついて鍵を開けた。
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