第5話 Happy christmas(5)

後ろめたかったが



イヴは友人宅で過ごした。



帰宅したのが午前1時を回ってしまったので、そーっと玄関の鍵を開けた。



足音を立てないようにしたのだが、電気をつける前に



パッとリビングの電気がついて驚いた。



高宮が怖い顔をして立っている。



「たっ・・ただいま、」



思わず直立不動になってしまった。



「こんな時間まで。 何やってたんだよ。 危ないだろ、」



「ご、ごめんなさい。 なんか・・盛り上がっちゃって、」



ひきつった顔で夏希は言った。



「電話の一本もよこさないで。 一人で暮らしてた時とは違うんだぞ、」



高宮はイライラしてつい声を荒げてしまった。



「・・・」



夏希はちょっと黙ってしまった後、



何かを言おうと顔を上げたが



彼は寝室にスッと入って行ってしまった。



夏希はまたも落ち込んだ。




早く帰ってこようと思ったんだけど・・



言いたかった言葉が出てこなかった。




今までも



友達と飲んだりして遅くなったことはあったけど



こんな風に言われたことなんかなかった。



奥さんになるって



今までとおんなじじゃダメなんだな…



夏希はまたも反省してしまった。





なんか言いすぎちゃったかな



ベッドで横たわりながら高宮は少しだけ彼女を責めてしまったことを反省した。



自分たちの記念日なのに




自分以外の人たちと彼女が時間を忘れるほど楽しんできたのかと思うと



嫉妬する。



もうちょっと



おれのことを想ってくれてもいいのに。



やっぱり最後はそんな風に思ってしまう。


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