第9話 Happy christmas(9)
「どっか側溝とかに引っかけちゃったみたいなんだよねー。 んで、足首がグネって・・」
夏希は足首をさすった。
「あーあー。 そんなに急ぐから、」
高宮はしゃがんで彼女の足首に触れた。
「ちょっとひねっただけだから、だいじょぶだいじょぶ。」
夏希は明るくそう言って立ちあがった。
「そんなに急いで。 何を買いにいったの?」
「クリスマスなのに。 チキンがなーい!と思って。 ケンタまで走っちゃった。」
「ケンタまで? 歩いて20分はあるよ。 またこんな遅くに、」
「だから。 走ったら10分くらいで来れたよ。」
何でもないかのように夏希は笑った。
ほんとに
もう・・
無駄な努力にエネルギーをつぎ込む夏希が
なんだか
どうしようもなくかわいくて。
「もちょっと待っててね。 ご飯できるから。」
夏希は、張り切って言った。
時間がかかってしまって
料理がテーブルに揃ったのがもう10時近くになってしまった。
「んじゃ、食べようか。」
高宮が席に着くと
「あ、ちょっと待って。」
夏希はキッチンから20cm四方ほどの箱を持ってきた。
「なに?」
「開けてみて、」
夏希はわくわくしながら待った。
そっと
開けてみると
「え・・」
びっくりするほど
大きな大きな
モミの木型クッキーに
きれいに砂糖菓子の飾りが施されている。
「これ・・」
高宮は箱のふたを開けた格好で固まってしまった。
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