第2話 Happy christmas(2)
夏希はそれに
へ?
という顔を一瞬した後、
なんともバツが悪そうにうつむいて
「・・あの、ね。 イヴの日。 大学の時の友達と約束しちゃって・・」
小さな声で言った。
「は???」
高宮は思わず箸を止めた。
「今日メールがあって。 あの、一緒に野球やってた子で、キャッチャーしてて・・ずっとバッテリー組んでた子なんだけど。 その子が結婚することになって。 そんで、お祝いをかねてみんな集まってパーティーしよって・・ことになっちゃって。」
なんだか申し訳なくてどんどん声が小さくなってしまった。
「え~~~????」
思わず不満丸出しの声を出してしまった。
「ご、ごめんなさい! でも、クリスマスの日はちゃんと空けてるから!」
夏希は
高宮の了承もなく友達と気軽に約束してしまったことが
いけないことだったんじゃないかとその時初めて気がついた。
高宮は大きなため息をついて
「次の日じゃ意味ないよ。 イヴは『記念日』だろ、」
夏希を責めるように言ってしまった。
「記念日・・?」
夏希はきょとんとして宙を見た。
そんな彼女の様子を見て高宮はさらに
「え! 忘れたの?」
信じられないように身を乗り出した。
夏希は一生懸命に思い出しているようなのだが
どうしてもわからない
という表情丸出しだった。
もう高宮は大ショックを受けて
「一年前のイヴ、忘れたのかよ・・」
もう完全に打ちひしがれてしまった。
一年前
夏希は記憶を呼び戻した。
隆ちゃんと
一緒に過ごして。
そんで
・・隆ちゃんがあたしにプロポーズをしてくれた日だ
ものすごい脳の彼方から引っ張り出してきた。
「あー・・」
老人か?
とつっこみたくなるほどの記憶力の危うさに高宮はどっと疲れてしまった。
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