概要
それは羽代に伝わる古い伝承。――忘れられた物語が今、深い霧の中に現れる
「白鷺の血潮」
中世の羽代が舞台。負け戦を下人の籐佐と共に落ち延びた若武者、須貝忠孝は山中で白鷺を見る。助けを待つ十数日の間に二人の間には変化が生じるが、それは悲劇をもたらすものだった。物語の結末は羽代の地に隠された伝承となる。
「天霧の樹影」
参勤交代から一年後の秋。羽代の当主である朝永弘紀は茶の木の品質改良に取り組んでいた。大規模な茶園を作る土地の候補として須貝の庄が挙げられ、馬廻り組の十人組頭に付いた秋生修之輔は弘紀の現地視察の護衛指揮を務めることになる。須貝の庄を訪れる途中、深い山の中で弘紀と修之輔は失われた古い伝承の実像を目の当たりにすることになる。
中世の羽代が舞台。負け戦を下人の籐佐と共に落ち延びた若武者、須貝忠孝は山中で白鷺を見る。助けを待つ十数日の間に二人の間には変化が生じるが、それは悲劇をもたらすものだった。物語の結末は羽代の地に隠された伝承となる。
「天霧の樹影」
参勤交代から一年後の秋。羽代の当主である朝永弘紀は茶の木の品質改良に取り組んでいた。大規模な茶園を作る土地の候補として須貝の庄が挙げられ、馬廻り組の十人組頭に付いた秋生修之輔は弘紀の現地視察の護衛指揮を務めることになる。須貝の庄を訪れる途中、深い山の中で弘紀と修之輔は失われた古い伝承の実像を目の当たりにすることになる。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!その山の深みに封じられた伝承が今、垣間見える
若君・須貝忠孝(すがいただたか)の初陣を飾らせようとの目論みは、仇敵の猛攻によりあっさりと破られた。敗走し、援軍を待つ身となった忠孝は下人の籐佐(とうざ)と共に山中へ潜み、不可思議な白鷺と出遭う。そして後の世。茶の品質改良へ取り組む羽代藩の当主・朝永弘紀(ともながこうき)は新たな茶園を拓く候補地、須貝の庄の視察を決めた。そうして踏み入った山中にて、弘紀は護衛を務める秋生修之輔(あきうしゅうのすけ)とふたり、かつてこの地にあった須貝なる豪族が残した伝承を見る。
この作品の魅力はなんといっても“におい”――時代を異にした同じ土地で語られるふたつの物語が重なり、儚くも鮮やかな真実を浮き彫るこ…続きを読む