この時代劇のあらすじは他の方の素晴らしいレビューを参考にして頂くとして、私がお伝えしたいのはこれが本当に極上のエンタメだと言うこと。
もうアレなんですよ、本当にページをめくる手が止まらない! これは高いリーダビリティはもちろんのこと、登場人物がみんな魅力的で感情移入しまくってしまうことにあると思うのです。
時代劇がお好きな人はもちろんのこと、今まで読んだことないって方にもオススメできる、素晴らしいエンタメに仕上がってます。
この作者さんの物語って本当にスゴいんですよ。どれを読んでもマジで面白いんだよなぁ。というワケで読まなきゃ本当に損ですよ! このレビューが目に止まった方、是非楽しんでください!
そこの兄さん姐さんちょっと見たってや、今日紹介するんはとある藩で起きたお家騒動の話やで。
ここだけの話、このとある藩のお姫さんが命を狙われ、お付きの者がお姫さん守って行方不明ちゅう話や。
そこの兄さん、このお付き者死んだと思った? 死んだ思ったやろ? いやいや、ここで言うたら面白ないやろう。この藩のお家騒動の謎ちゅう話も気になるんとちゃう?
気になるやろ?
そこでこの瓦版(小説)や、人情謎解き手に汗握る展開がぎょうさん書かれとるで、さあさあ話が知りたい兄さん姐さん早いもん勝ちやで、読んだってやっ!
※時代物なんでレビューを瓦版屋風にしてみました。瓦版屋て職業があったかは知らないですけど、時代劇でこんな場面を見たことあったので。
文句のつけようもないほど面白かったです!
とある藩主の城で、後継ぎを巡って起きたお家騒動に端を発した物語です。
狙われた姫を守って、川に落ちたきり姿を消した従者。
城の者がかの従者の行方を追う一方。山に暮らす少女・狐杜は、河原で記憶喪失の美青年を拾います。
自らも赤子の時にお狐さまの杜で拾われた狐杜は、青年に月守と名を与え、一緒に暮らし始めますが——
見どころを挙げ始めるときりがないのですが、まず、文章そのもののリーダビリティが凄まじく高いです。
現代とは違う文化や言葉遣いもあるのに、驚くほど読みやすく、あっという間に物語の世界へと引き込まれます。
登場人物も、みんな魅力的。
狐杜や月守はもちろん、脇を固める与平や八重、敵方にあたる十郎太や勝孝に至るまで。
それぞれの関係性を描き出す筆致が本当に見事で、深い人間模様に胸を打たれました。
『家族』の縁。それが良い時も、悪い時もある。
何を信じ、何を目指すのか。
誰の視線を受け、そこに何を見出すのか。
親子関係が生むのは、軋轢か生きづらさか、あるいは燦然と輝く道標か。
普遍的なテーマは、現代を生きる我々の心に響くことでしょう。
見事な大団円でした。読後の満足感がすごい。
素晴らしい物語です。多くの人に読まれますように!
とあるお城で起こったお家騒動。
命を狙われた姫様に、それを守ろうとする家臣。そんな手に汗握る展開から始まる時代劇ものの本作ですが、終始戦いが繰り広げられるというわけではありません。
お城の騒動と同じく本作の中心となるのは、そんなお城の比較的近くに住む市井の人々です。
一介の町娘である狐杜に、その弟分のような与平。本来ならきな臭い話など無縁のはずの彼女達ですが、ある時橘という行き倒れの男を助けた時から、数奇な運命に巻き込まれます。
一庶民がお家騒動に関わるなんて、いくらなんでも荷が重い。そんな風に思いそうなところですが、それでも辛い空気にならないのは、多くの登場人物が、前向きで誰かを思いやれる良い人達というのが大きいでしょう。
大変な事態に巻き込まれても決してへこたれることなく、時にお偉方相手にも怯まず挑んでいく。何の力も権力も持ってない人達だからこそ、そんな逆境にも負けない姿を見るのは痛快です。
そして、ただの勧善懲悪ではおさまらない、親子家族についての思いも語られます。
家族だからこそ大事? それとも、家族だからこそ憤ることもある?
最も近くにいるはずの人達。けれどだからこそ、そこに抱く思いは様々なのかもしれません。
時代はいまは昔。
されどもここにあるは常の理。
家族とは、時に安らぎであり、時に戒めであり、一歩間違えば焦燥を、憎悪を。
だが根底にあるのは、家族だからこそ、こと幼き頃にはその言葉、その振る舞いに裏表なく真実が向けられているのだと思ってしまうからではなかろうか。
だからこそ、一つ一つの触れ合い、些細なすれ違いがいかに重要か。
忘れてはいけませぬぞ、家族持つものなれば。
いや、裾野を広げても良かろう。親しき友人、腹蔵なき関係にあればこそ、わずかばかりかけられた言葉、わずかばかり足りない言葉であれ、向けられた方には深く刺さり込む刃と同じ。
露ほども思うていなかったでは済まぬのです。
さあれ、かく言うはこの物語の一読者の思うところであるからして、ここは次のごとくお伝え申し上げたい。
まずは紐解いてみよと。
途端、引き込まれてこの世界の中にあれ。その目で確かめるが最良。
舞台は昔の日本。
とあるお城で起きた襲撃事件。姫の命が狙われ、従者の一人が行方不明になってしまいます。
そして、そんなお城の騒ぎとは無縁なのが、町外れのあばら家で暮らしている娘、狐杜。
赤ん坊の頃に稲荷神社に捨てられていたのを育ての親に拾われ、両親に先立たれてからも、お隣さんや友達と助け合いながら元気に過ごしてきた狐杜。
そんな彼女が川で倒れている男を助けたことで、思わぬ騒動に巻き込まれることに。
お家騒動を描いた時代物で、登場人物が皆魅力的。
特に物語の鍵となるのが、川で助けた男です。
この男、助けたはいいけど何も覚えていない記憶喪失。しかしどこが普通じゃない雰囲気をかもし出すこの人は何者なのか。
話の所々に謎が散りばめられていて、それを解こうとする様子がミステリー小説のようにも思えました。
時代物が苦手な方でも、読みやすいと思います。