巻き起こるお家騒動。解決の鍵は、人と人との縁?

とあるお城で起こったお家騒動。
命を狙われた姫様に、それを守ろうとする家臣。そんな手に汗握る展開から始まる時代劇ものの本作ですが、終始戦いが繰り広げられるというわけではありません。

お城の騒動と同じく本作の中心となるのは、そんなお城の比較的近くに住む市井の人々です。
一介の町娘である狐杜に、その弟分のような与平。本来ならきな臭い話など無縁のはずの彼女達ですが、ある時橘という行き倒れの男を助けた時から、数奇な運命に巻き込まれます。

一庶民がお家騒動に関わるなんて、いくらなんでも荷が重い。そんな風に思いそうなところですが、それでも辛い空気にならないのは、多くの登場人物が、前向きで誰かを思いやれる良い人達というのが大きいでしょう。
大変な事態に巻き込まれても決してへこたれることなく、時にお偉方相手にも怯まず挑んでいく。何の力も権力も持ってない人達だからこそ、そんな逆境にも負けない姿を見るのは痛快です。

そして、ただの勧善懲悪ではおさまらない、親子家族についての思いも語られます。
家族だからこそ大事? それとも、家族だからこそ憤ることもある?
最も近くにいるはずの人達。けれどだからこそ、そこに抱く思いは様々なのかもしれません。

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