忘れない記憶の記念日

　<あらすじ>
　個人から特定の記憶を抽出して、他人の脳内に再現する技術が発達した国。
　その国では思い出をいつでも好きな時に、鮮明によみがえらせることができ、自分のものだけでなく他人の記憶も思い出すことができた。他人と記憶を共有して、感情を確かめあうことが主流であり、夫婦間では『記念日』の思い出を特に大事にされていた。
　そんな中、結婚八年目を迎え、私は悩みと共に「記念日」を迎える。
　その日は彼女たちの結婚記念日であるだけでなく、国家の「記念日」でもあった。