硝子の函に夏の光を閉じ込めて

 白詰草と紋白蝶と一緒に閉じ込めて、あなたと私のいたあの夏を
 明るく煌めく夏の光で隙間をつめて、透明の硝子の函に青空と一緒に仕舞っておいて


 少女たちは二人とも同じことを望んだはずだ。
 汚い音も幼い男子も親も未来もなにも要らない少女の刻を、どんな美しい言葉よりも本を開く少女の白い横顔が飾り気のない栞になって、胸に細いピンで留められてしまった真夏の木陰。

 主人公は結婚指輪を投げ捨てる。
 冷たすぎる飲み物を合図に少女たちの青い夏がまた戻ってきた。


 映画「乙女の祈り」を想い出してしまいました。