9.アンバー・ホップ Ⅱ

あれから4日後。

僕たちは無事に、ハーヴェスに戻ってきていた。

今はギルドマスターのドロシーさんの作った焼き菓子と、僕の入れた紅茶で食後の一服中。


蛮族の出現に村の人たちはとっても怯えてたな。

でも、リーダー格のフーグルマンサーが退治された話や、巡回の回数を増やすとか・・・。

いろいろレーゼルさんが、村の人を一生懸命安心させるように説明してたっけ。


何人もの人たちが安堵したり、納得してた。


僕には出来ないよね。


僕たちの仕事っぷりも、すごくよく報告してくれてたみたい。

ドロシーさんが依頼の報告書を見ながら「この内容なら、すぐに次の仕事も来ると思うわよ」と言ってくれた。


森で見つけた遺跡の話はドロシーさんにだけ報告した。

「それでいいと思うわ。うちのギルドでお仕事を頑張って、成長してから挑んでね」と。

商売人なんだなあ。


そして、僕たち4人はというと何となく、お昼くらいにはギルドの隣の食堂に集まって食事して。

昼は各々の用事を済ませて、また夜に食堂に集まっている。

性格もバラバラで、あんまり共通の話題もないのだけど・・・。


「あら、レーゼル?」

ミシオが入り口に向かって手を振る。

(え、もう呼び捨て?)

彼の他人との距離感はうらやましい。


「みなさん、先日はありがとうございました」

レーゼルが頭を下げる。

「正式に、モモの村の開拓事業に予算が下りることになったので、ご報告したくて。しかも、沢山!!」

「おお~それは良かったな!?次、村に行った時はもっと美味しいもの食わせて貰えるのかな?」

ドンキィが目をキラキラさせながら、喜んでる。いつも彼は明るいな。


「その金で贅沢をするわけじゃないんだ、ドンキー」

カスパールがあきれ顔で言いながら、紅茶をすする。

対照的に、カスパールはいつも冷静で。

これからも、迷ったときには彼の意見を聞きたくなる時があるんだろうな。


(これからも・・・これから?)

そうか、何となく一緒にいるけど。

他の3人も、これから一緒に冒険をしていくつもりなのかな?

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