10.レーゼル

「私・・・本当は冒険者になりたかったんです、でも適性がなくて・・・」


「でも、冒険者の皆さんと一緒に仕事をしながら、こうしていろんな人の暮らしの役に立てるのはやっぱり良いなって・・・思いました」


「今までも、そうだったんですけど・・・何か気付いたことが多くて」


「皆さんとお仕事するの楽しかったです、改めて有り難うございました」


上官にも言えなかったことが、何でこんなに素直に言えるんだろう。

そもそも、何で聞いて貰いたいと思ったんだろう。

目の前の駆け出しの冒険者の4人は、真剣に話を聞いてくれている。


「レーゼルもようやく、仕事への愛が芽生えたのね、良い事よ」

綺麗な顔立ちの剣士は、腕を組んで何度もうなずいていた。


「そして・・・ゆっくりされているところ、早速でもうしわけないのですが・・・」

そうそう、もともとは仕事の依頼をしに冒険者ギルドに来たんだった。


「今度はファーゼルの村の巡察に、護衛でついて来て頂きたいんです」

「帰りは、その村で収穫された野菜の運送の護衛もして頂きたくて・・・」


「そうか、早速次の仕事にありつけるのは有難いが・・・」

カスパールさんが、気を使っている理由はすぐわかった。


「あ、正式な依頼の手続きは先ほど済ませました」

「ドロシーさんからも皆さんを推薦されてるんです」

メリアの魔術師、ホップさんの頭に咲いている花が嬉しそうに揺れた。


「直接、みんなにお願いしたかったんですって」

私の後ろに、いつのまにかギルドマスターのドロシーさんが立っていた。


「運送される野菜にトマト、かぼちゃ、ズッキーニ、茄子があったら頂こうかしら」

「ギルドでも、羊のひき肉と夏野菜のカレーは毎年人気なのよ」

「作ってる私がいうのもなんだけど・・・」

ドロシーさんの話を聞きながら、ドンキィさんの目がどんどん大きくなっていく。


「みなさん、引き受けて頂けますか?」


GM「みなさん、なんて答えますか?」


全員「勿論!!!」

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sw2.5リプレイ「私は勇者でなくていい」 ハリィ @cuttingdorothy

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