8.カスパール Ⅱ

「ん・・・うう・・・」


「キッカ!!気が付いた?」


蛮族の落とし穴から救出された、魔術師の女性が目を覚ます。


依頼人レーゼルの魔法学院での同期の女性だ。


(これで全員意識を取り戻したな)


キッカ「う・・・レーゼ・・ル?あなたが助けてくれた・・・の?」


キッカ「調子によって深追いしすぎたわ・・・」


レーゼル「ごめんなさい、無理にでも出発前に私の話、聞いて貰えばよかったわ」


レーゼル「以前、この辺りに住んでいた蛮族が狡猾でね。いまだに発見されていない罠が多いとは聞いてて」


レーゼル「今は、ゆっくり休んで。ここからならモモの村の方が近いわ、一緒にいきましょう?」


キッカ「いえ・・・大丈夫、依頼元の村に報告もあるから・・・」


キッカ「仲間と一緒に、そっちに帰るわ」


キッカ「レーゼル・・・」


レーゼル「ん?」


キッカ「ありがとう・・・」


レーゼル「そんな、私はなにも・・・」


戸惑うレーゼルと目が合った。


うなずいて見せる。


レーゼル「うん、気を付けて・・・帰ってね」


安堵した表情。出会ってから、初めて見た彼女の表情だ。


「え~お前ら帰るの?モモの村で一緒に飯食おうぜ!?」

「依頼してる村がほら、きっと心配してるからドンキィ。引き留めるの辞めなよ」

呑気に言いたい放題のドンキィと、それを必死にとめるアンバー。


その様子を見て、俺たちはもう1度目が合い、そして今度は笑いあった。

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