海と風のボーイズラブ

 ヨット好きの父が追い風に乗ってほしいと名付けた凪帆くんが出会したのは"嵐"。それは凪帆くんにとって波乱になるはずがどうもこの青年、頼りなさそうでやる時はやるようだ。嵐といえど帆の振り方で人生の波は加速を予感させれる。とはいえ嵐もただではおかない。航海、いや後悔するなよと彼に強い風を吹きかける。さてさてこの荒波は凪帆くんに何を齎すかというとこで一旦閉幕するが、なんというか爽やかだ酔っぱらいと胡散臭い占い師が揃って起こる現象にしてはあまりにも。書かれた単語に反して冒険小説のような印象がある。書き手の含みの技術には感嘆する。

 ところで話は変わるが、皆さんは泥酔lemonというものをご存知だろうか。これはひとりの若人が魂を天秤に乗せて作り出した奇跡の記録である。まさしくストロングでありながらゼロになりかけた灯火は波を乗り越えて不死鳥になった。フィクションではない。現実だ。きっと忘れられない。伊賀入れ物に湯。

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