から採れる特殊な栄養素があるように、普段ゴリゴリのBLを書かない字書きが書いたBLから採れる特殊な栄養素がたっぷり。
BL初挑戦という情報を踏まえて見ると、良い意味でなるほどという感じです。いやもしかしたら単に作風かもしれないんですけど
同テーマの中には序盤からラブのアクセルを踏んでいく、入店即塊ステーキのような作品もある中で、こちらは素材を活かしたパンとサラダと前菜が出てきているような状態でしょうか。期待が高まります。
2話時点でまだラブ部分は入口くらいの、ゆっくりめの展開ではありますが、話とキャラの掘り下げが面白いので読みやすく退屈しません。
まさか1話の引きからクズvsクズが始まるとは笑いました。
※第一話『9.9㎡』まで読んだ時点での感想です。
いろいろどん詰まりの大学生が、やたら顔が良くて口の悪い占い師に出会うお話。
一話目のみ読んだ段階(というか連載中)でレビューを書いているのですけれど、もうこの時点でワクワクが止まりません。
ここまでだと本当に、ただふたりが出会っただけに過ぎないはずなのに、でもしっかり引きつけられてしまう。
細かいエピソードが巧みで、主人公が占い師の彼に興味を持つ、その心の動きにまんまと乗せられる、この感じ。
特に最後のヒキが本当に絶妙で……。
物語そのものはまだ途上なのですけれど、すでに彼らのキャラクターがとても魅力的。
なにより自然なところが読んでいて心地よく、いつの間にか好意を抱いているのだからすごい。
この先、絶対面白い方に話が転がっていく、とわかる感じが大好き。
先がどうなるのか楽しみです。
ヨット好きの父が追い風に乗ってほしいと名付けた凪帆くんが出会したのは"嵐"。それは凪帆くんにとって波乱になるはずがどうもこの青年、頼りなさそうでやる時はやるようだ。嵐といえど帆の振り方で人生の波は加速を予感させれる。とはいえ嵐もただではおかない。航海、いや後悔するなよと彼に強い風を吹きかける。さてさてこの荒波は凪帆くんに何を齎すかというとこで一旦閉幕するが、なんというか爽やかだ酔っぱらいと胡散臭い占い師が揃って起こる現象にしてはあまりにも。書かれた単語に反して冒険小説のような印象がある。書き手の含みの技術には感嘆する。
ところで話は変わるが、皆さんは泥酔lemonというものをご存知だろうか。これはひとりの若人が魂を天秤に乗せて作り出した奇跡の記録である。まさしくストロングでありながらゼロになりかけた灯火は波を乗り越えて不死鳥になった。フィクションではない。現実だ。きっと忘れられない。伊賀入れ物に湯。
>現代における神は、きっと9%のアルコールで構成されているのだろう。
(1話のここすき
さて3話まで読み終わり公式に完結が示されたので改めてレヴューを
まず『夕凪と遠雷』というタイトルが非常に文学的で(ここ含め全て私見です
全体として夏場に飲む無糖の炭酸飲料のような爽やかさが感じられる
BLを基本たしなまない自分には3話がちょっとゲップが出ましたが(比喩
総合的に見て「あゝ、令和の文学であるな」という印象にまとまる良作
そういえばストゼロ、もはや昨今は季語味ない?
そろそろもうちょっと真面目にコメントをしようと思う
冒頭、主人公・凪帆はその名の通り風のない海を漂う船のようである
彼は文字通りの『嵐』と遭遇し、避けることではなくそこに進むことを選んだ
風に吹かれてこそ帆は張るものだからだ
物語の骨子、構造は非常に純粋で簡潔にまとまっており読みやすい
裏返せば物足りなさがあるとも言えるが読後の清涼感に一役買ってもいる
興味が湧いた方は、この猛暑に涼し気な炭酸飲料をおひとつどうぞ