平安時代の雅な恋愛風景とアニキな藤原道長

時は平安時代。藤原道長、和泉式部を初め、耳に馴染んだ名を持つ人々が息づく世界。
読んでいるとお香が香り歌詠みが聞こえてきそうな生き生きとした筆の下に描かれる、一途で不器用な男と恋愛上手に見えて、な女の物語。

小話に分類されると思われる本作、とにかく登場人物が生き生きと描かれています!
特に藤原道長が面白い!
「ンなことより、今の言葉は何や? 麿まろに教えてみ?」
「え、とは何じゃ。麿の四天王として忠勤に励んでる士ィが思い悩んどるんや、気にして何が悪い?」
こんな言葉が、道長の口から流れ出てくるんですよ。
配下を思い遣るアニキな道長、こんな道長が動くこのお話しを読んでみたくなりませんか?

純な主人公の一途な思いと行動、それに伴う名の知れた盗賊。惚れた相手の返答や如何に?
筆者の、歴史の事柄に裏打ちされた確かな筋書きが、この物語を重厚に彩ります。

素直に面白く、読みだしたら最後まで読み切ってしまいます!
一読の価値のある作品と思いました。縁を感じましたら是非に。

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