後書き
~後書き~
今回、章タイトルを考えるのにかなり苦戦しました。いや、サブタイトルは苦戦どころの騒ぎじゃありませんでしたが(『
第一章の『過去の残滓』は、ほぼほぼ花梨の事です。冒頭で陸王が日ノ本の桜を思い出しているのも過去に繋がる部分なんですが、実は陸王自体は結構どうでもいいんです。でも花梨は冒頭で陸王が桜とアイオイの木を重ねて見ているより以前に、監禁されていました。村の外の子供という事で、伯父・伯母・いとこからも嫌われていた存在です。本文にもその旨は書きましたが、花梨の母親の過去をそのまま詰め合わせた存在が花梨です。だから、第一章は『過去の残滓』になりました。分かりにくくてすみません。
第二章『導きの獣』。これはアルビノの鹿こと、セレーヌの変わり身ですね。これはまんまです。
第三章『奪われた贄』。これもまんまですね。村側からしてみれば、陸王と雷韋がやった事はこういうことです。だから三章の序盤は村から始まっているわけです。
第四章『呪い、そして精霊王』。敵対するものの正体が分かる章になりました。そしてセレーヌの登場です。彼女によって、陸王の正体が知れる章でもあります。何かよからぬ種族であることは散々書いてきましたが、やっと正体が知れました。色々と知ることが出来る章になりましたね。
第五章『蠢動』は、あっちこっちで思惑が蠢いているんじゃないかな、と思ってこの章タイトルをつけました。
第六章『贄の証、発露』。花梨がどうして嫌われるのか書きました。正直、村の連中は胸くそですね。そして、村の娘達に贄の証が現れるところから、この章タイトルをつけました。花梨には現れず、でした。
第七章『異界からの勝算』は、陸王が精霊王の世界に連れて行かれたこととは全く関係ありません。雷韋が開けた次元の穴から現れた生き物たちに、雷韋が全てを賭けたというところからのこの章タイトルです。下手をしたら召喚獣が暴走したかも知れない。でも、それはなかった。本文中には特に書きませんでしたが、雷韋の抑制が効いていたのです。
第八章『太極と大局』は、陸王と雷韋の対を表したものと、大局的観点から見て、精霊王を散らしたことが正しかったことを表しています。
さて、この物語、如何でしたでしょうか? 書いた本人、途中から自信がどんどんなくなっていきました。推敲が全て終わったときには「いい!」と思ったんですが、なんとなく物足りないような? 戦闘シーンを大幅に削ったことも影響しているのかも知れませんが、今回描きたかったのは呪われた人々の話だったので、戦闘シーンはささっと終わらせました。それでも、前作を知っている方はお分かりでしょうが、今回は戦闘シーンに雷韋の活躍がありました。前回はありませんでしたから。そこの部分で言えば、そこそこ納得いっていたりします。全てを陸王に任せるのではなく、雷韋も頑張ったという事で。逆に言えば、雷韋がいなければ成り立たない戦闘でしたが。
それにしても酷いお話でしたね。でも書いてみたかった話です。誰も報われない物語ですが、逆にそれが幸いして主人公二人の絆は結ばれていきます。多少ではあるのですが。対だからと言って、始めから何もかもわかり合えているわけではないので、そんな部分が書けてよかったと思っています。でも結局、幸せになれたのは主人公二人っきりなんですが。あまり後味のよくないお話ではありますが、それでも書きたかった。異形のせいで、村の者達は誰一人として助からない、そんなお話。誰にも罪がないからこそ遣り切れなさを感じる物語となっていますが、次回はハッピーエンドを目指したいですね。色々な意味で。
次回作は考えてはいるのですが、いい加減、公募用の原稿を書き始めないとならないので、次に『
とまぁ、個人的に色々ありますが、陸王と雷韋の物語は続けていきますので、次回連載まで期間は空くと思いますが、それまで何卒お待ちくださいませ。決してエタる事はありません。それだけは保証します。このシリーズが書きたくて連載を始めたので。もし時間が空いても「次も読んでもいいよ」という奇特なお方は、なんとなく頭に入れておいてくださると幸いです。もしかしたらこっちの方をさっさと書き始めてしまう可能性も無きにしも非ずですので。
そして明日からは、【
ではでは、長々と最後までお付き合いくださり有り難うございました。
獣吠譚 覇界世紀(じゅうこうたん はかいせいき)巻の二『禍事(まがごと)』 杏月飛鳥(きょうげつ あすか) @asuka46
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