神山、霊峰。鬼哭啾々の境界に命がせめぎ合う。

 山岳信仰や修験道など、古来から山は、異質な存在との境界でした。

 本作では、標高1000メートル以上の山々に、現代の境界が現れます。
 山核(さんかく)と呼ばれる異質な存在に隔絶され、国土とライフラインを寸断された日本は、山核狩猟隊による脅威の排除、山核登頂隊による境界の解放、そして山核救助隊による支援活動で、組織抵抗を開始しました。

 主人公の開(かい)と百合香(ゆりか)は、山核救助隊で出会います。
 それぞれに傷を隠し、弱さへの怒りを胸に沈めて、救うことでなにかをあがなうために。

 一方で、山核からもたらされる異質な技能・物質をめぐって、人の欲望、政府の思惑、山の管理者として境界の狭間に身を置く者たちの意思が、交錯します。
 変わってしまった世界に、どう向き合うのか。異質な存在と、どんな形で共存するのか。誰がそれを主導するのか。

 霧にかすむ山頂のように、未だ全貌を見せない境界の物語……心の奥の畏れ(おそれ)と共に、ぜひ、楽しんでいただきたいと思います。

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