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私の心はどこにある?
芝生と春が正式な恋人同士として、お付き合いをすることになったのは、そんなことがずっと昔にあったからだった。
あの当時のことを思い出すと、春は今でも本当に恥ずかしくなってしまった。今も春は、あの当時のことを思い出して、その頬を少し赤く染めていた。
……でも、あのときの私にとって、それは本当に切実な問題だった。どうして、あのころの私は、あんなに必死だったのだろう? と、今考えてみても、自分でもその答えがよくわからなかった。(……自分自身のことなのに、だ)
そのことを芝生さんに聞いてみると、芝生さんは「そんなものだよ。みんなね。自分でも、自分のことはよくわからないものなんだよ」といつものように優しい顔で笑って春に言った。(当時の自分のことは棚にあげておいて)
芝生さんがそういうのならそうなのだろうと思って、春は納得した。
私だけじゃない。
みんながそうなのだ。
自分のことは、自分でもよくわからない。(これが正解なのだと思った)
春は視界の隅々まで広がっている、青色の空を見上げる。
そこには、真っ白な宇宙船が、宇宙に向かって飛んでいく風景が広がっている。
それは、芝生さんが、就職している宇宙関連の企業のチームのみんなと一緒になって開発をした、新型の宇宙船(きぼうという名前の宇宙船だ)だった。
「きっと、これから、人類はみんなが宇宙に旅立っていく時代がくるよ。今からそれが楽しみだね」と芝生は言った。
春には本当にそんな時代が来るのか、よくわからなかったけど、芝生さんがとても楽しそうに話をしていたから、それでいいと思った。
世界には優しい夏の日の風が吹いている。
その気持ちのいい風の中で、春はにっこりと笑った。
世界は上と下の一面が、青色と緑色。(余計なものは……、なにもない)
ここはまるで天国のように、美しくて、綺麗な場所だった。
……そんな風に、にっこりと笑ってから、きっと私がこうして今も笑えるのは、芝生さんのおかげだと思った。(あなたが私のそばにずっと一緒にいてくれるからだと思った)
「春は宇宙に行くなら、どこの惑星に行ってみたい?」楽しそうな顔をして、もうとても小さくなってしまった、真っ白な宇宙船の飛んでいく青色の空を見上げながら、芝生は春に言う。
「どこでもいい。芝生さんと一緒なら」
にっこりと笑って、きちんと大人になった春は、白衣姿の芝生の隣でそう言った。
おーい! 私はここにいるよ。
春の惑星 終わり
春の惑星 雨世界 @amesekai
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