商談7 望月荘
いい写真が撮れたから、さっそくSNSに投稿しよう。今時の営業はSNS活動も必須だ。しかし、我ながら
......さて、ここから引き返すのは気が重くなる。ただでさえ
往復1時間をかけて、俺は鴨河漁港へ戻って来た。もう足が棒になっている。
「この度は、望月荘へお越しいただきありがとうございます」
部屋もこじんまりとした和室で、ブラウン管テレビというのが実にクラシカルだ。しかし俺は
温泉は露天風呂で、誕生の海を眺めることができる。これもまた絶景だ。しかしなんだろうか、この腹の底から込み上げる感情は......。
「......あーーーっ!!!」
俺は訳もなく雄叫びを上げた。大自然は時に、人の心を開放的にしてしまうようだ。
「お客さん、お静かに!!」
窓越しに女将さんから注意されてしまった。よく考えれば、いい歳したオヤジが叫ぶのはみっともなかった。反省反省......。
風呂場から戻るとまもなく夕食。女将が部屋まで食膳を運んできた。
「今宵は、とれたてのうつぼ寿司です」
......いや、待て待て! 昼食がうつぼ丼なのだが??
「どうやら、旅の人が大物のウツボを釣ったそうで」
その旅の人は、きっと俺のことだ。
「ああ、お客様がその旅の人ですか! それは申し訳ない」
どうやら、大ちゃん寿司の大将がこの宿の夕食を融通しているらしい。これも地方ならではといえる。せっかくなので、うつぼ寿司も味わってみるとしよう。
しかしながら、寿司であってもウツボが濃厚な味わいであることに変わりない。唯一の違いは、ガリとあがりが付いていることくらいか。あ、でも寿司に合わせてたれの味わいが若干控えめ?
夕食を終えた俺は、身も心も満たされた。やがて睡魔に襲われ、俺は早々に就寝してしまった。
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