商談2 海のギャング
俺は
「下げ
海釣りにおいて潮の
俺は、スーツのポケットに大きめのペンを忍ばせている。これが何かって? 実は携帯式の釣り竿なんだ。驚きだろう? これなら、スーツ姿でも違和感なく釣り道具を携帯できる。
そして、ポケットにも携帯式のベイトリールを忍ばせている。いざという時、即応で釣りができるようにする努力を俺は惜しまない。水辺があれば竿を振り出さずにいられない。これは釣り人の
そして胸ポケットには電子タバコ......と見せかけたルアーケース。シーバスはミノーが王道、しかしここは敢えてスプーンで挑もう。足元にはイワシの群れが回遊しているし、ちょうどいい。タックルを組んだら、いよいよ
俺は沖合の岩礁地帯へ仕掛けをキャストする。仕掛けは表層を泳がせる。誕生の澄んだ水面には、このスプーンのきらめきがよく似合う。そして、この潮風がまたここ......っ!!
来たっ! 早くも来たぞ! これは大物の予感......! 竿の先端にズシンとした重みが伝わってくる! しかしなぜだろう? これほどの大物なら仕掛けが走るはず。これは何かがおかしい。もしや根かかり? いやそんなはずはない。なら、この重みはどう説明すればいい?
俺が困惑している最中、奴は水面から姿を現した。まさか......嘘だろう?? トラ柄を思わせる模様、ヘビに似た体型。海のギャング・ウツボじゃないか! けどなんでだ? 奴は夜行性じゃないのか? 今はそんなことどうでもいい。とにかく仕掛けを引き上げないと!!
俺のタックルはシーバスを想定しているが、それでもウツボと戦うには厳しい。このはち切れそうなラインを、慎重に巻き取っていかねば。
あまりの緊張から、いつしか俺の額に冷や汗が溢れていた。
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