歪で、危うく、狂っている…だから魔法は強く優しく、美しく面白いのです。

ひとまずご一読いただくだけでもポップで色鮮やかな楽しいご作品なのですが、何度も読み返し、深く噛み締めることをオススメしたいご作品です!
メルヘンチックでサイケデリック、魅力的なキャラクターやストーリーの裏に通底するテーマや思想の見られる、骨太なハイファンタジーとしての側面にもぜひご注目ください!

主人公のリテラさんは一見すると弟子達に振り回されたりコスプレさせたりしている、バカでスケベなお兄さんという感じなのですが(笑)、結界術に長けているだけでなく、その知性もまさに大賢者と呼ぶに相応しく、主人公としての説得力を十二分に兼ね備えるお方です。
傍らに無知の知を置き、常に広い視野で問い直す彼の姿勢は、魔法使いが至るべき魔道の真髄、その一端を指し示しているのではないかと拝察いたします。
迷う者の苦しみを和らげ、肩の力を抜かせるような絶妙な言葉をかけてくださるその姿に、特に好感を覚えます。

お弟子さん達の可愛さは言わずもがな、特にヤバいヒロインがお好きな方は必見です!
章ごとに一人のお弟子さんがフォーカスされるのですが、他の子達の立ち位置や立ち回りも独特で、(トラブルを起こすかも、という意味でもですが笑)常に目が離せません!

個人的には、特に「キュリオ奇誕」のクライマックスが圧倒的でした! 本文中に「畏怖嫌厭、カタストロフィ、神の子と悪魔の子」という表現がありますがまさにその通りで、邪悪な聖画とでも呼ぶべきあのシーンをぜひ味わっていただきたいです!
展開的にも、中途半端な価値観に囚われ、己の欲求に正面から向き合い切れなかった者が敗けるという、一貫した理念に強い得心とカタルシスを覚えるエピソードでした!

悪党達の不気味さも真に迫り、章ごとの構成も美しく、文章は読みやすく、魔法の発動描写も目が覚めるようにカッコイイ…そしてやはり何よりも、ヒロイン達が抜群に可愛い! そんなとにかく面白いご作品です!

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