第4話 おわりに
三種の動物を紹介してきた。
いかがだっただろうか? 多少は、当園への興味を生み出すことができただろうか。
お客様としての来園はもちろんのことだが……当園は万年人手不足。「従業員」の募集も行っている。
特に、これまでの説明を読む中で、ピンと来た人もいるのではないか。「この手記は、実在する神話や伝承の幻獣の話をしているのではないか」と。
ピンと来てしまった貴方は漏れなく幹部候補である。当園の従業員に最も必要なものは、「神話オタクであるかどうか」……その一点に尽きる。何せ、相手する生き物の殆どはギリシャなり北欧なりの神話で聞いたことのある生き物ばかりだからだ。前提となる知識さえあれば、その飼育には大いなるアドバンテージが生まれる。
かくいう私も貴方と同じだ。先代園長の手記を、そうやって手に取って読んだ。そして惹かれてしまった。
だからこそ、私も「そちら」から「こちら」に来たのだ。
なに、怯えないでほしい。別段、この手記を読んだら「こちら」に強制送還されるなどという理不尽な真似をする気はない。
もう私の携帯電話は機能しないので、「こちら」で使える連絡手段を、以下に記載しておく。
「幻獣と触れ合いたい!」「神話オタクの知識で神話生物にマウントを取りたい!」など、「そちら」での生活への執着を超える欲求が貴方に芽生えてしまったならば、いつでも以下に名前をサインしてほしい。
そうすれば、きっと迎えが行くだろう。
名前: 印
いつかどこかの動物園の手記 @nippori-ch
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