かくも美しく、残酷なる世界。

 この物語は、一つの童話から始まる。王様が一人ぼっちの少女を助けるという童話だ。そして、主人公はまさに、この童話のお姫様だった。
 少女は今日も、荒廃して汚れた世界に出ていった恋人を待つ。防護服を着て帰って来る青年は、シェルターに少女を匿い、愛していた。そして少女も、青年を愛していた。崩壊した世界で迷子になっていた少女を、保護し、読み書きを教えてくれた青年は、少女にとってかけがえのない存在だった。
 今日も少女は本の中の世界に浸る。そして、本の中に、一枚の銀杏の葉を見つける。誰かが残した栞だろうか。それとも崩れ行く世界の終わりに、誰かが最期に残したものだろうか。その銀杏の葉を見せた少女に、青年は——。
 
 徐々に浮かび上がる真実と、童話のもう一つの顔。
 そして、衝撃のラスト。
 鮮やかに展開する物語。

 是非、御一読下さい!