本当に悪い女は誰なのか

晴子、優衣、珠里愛、三人の関係性が消えてしまいそうなほど儚い。
優衣が心配だが悪女になりきれない晴子、無意識に二人の女性を振り回す優衣、優衣が本当に好きだから悪女になった珠里愛。どの視点を切り取っても切なく儚い物語です。誰の立場でも没入できる落ち着いた文体が心地よかったです。
個人的に、珠里愛が優衣のパンプスを履いて来てしまったシーンが好きでした。

『その傷口は優衣のくちびるとぴったり同じ形、その口紅とそっくり同じ色だ。』

本当に好きな人だからこその表現だと思います。

繊細な心情描写が素晴らしかったです。不穏なタイトルに反して胸が締め付けられる作品でした。

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