概要
杏の樹の下で、今日も彼女は待ち続ける。
杏子(あんず)は杏の精霊である。名字はまだ無い。
季節は春。華やかな桜に隠れて、控え目な花を付ける杏を観に訪れる者はほとんど居ない。
それでも彼女は信じていた。いつの日か杏の良さを理解し、彼女を迎えに来てくれる素敵な『ご主人様』が現れることを。
そんな彼女の下に毎日のようにやって来るのは、ご主人様の印象とは程遠い青年、水無月良平(みなづき・りょうへい)だけだった。
ため息をつき、杏子は今日も叫ぶ。
「蒸散!」
これは、ある春の日。一人の精霊と一人の人間が織り成す、淡い恋物語。
※はるかな昔。年一回、春の季節に一話ずつ書いていた短編をまとめたものです。
なお、タイトルに『通信』が付いているのは、mixiで配信していた名残だったりします。
季節は春。華やかな桜に隠れて、控え目な花を付ける杏を観に訪れる者はほとんど居ない。
それでも彼女は信じていた。いつの日か杏の良さを理解し、彼女を迎えに来てくれる素敵な『ご主人様』が現れることを。
そんな彼女の下に毎日のようにやって来るのは、ご主人様の印象とは程遠い青年、水無月良平(みなづき・りょうへい)だけだった。
ため息をつき、杏子は今日も叫ぶ。
「蒸散!」
これは、ある春の日。一人の精霊と一人の人間が織り成す、淡い恋物語。
※はるかな昔。年一回、春の季節に一話ずつ書いていた短編をまとめたものです。
なお、タイトルに『通信』が付いているのは、mixiで配信していた名残だったりします。