優しさで満ち溢れている物語です。

味覚を失った主人公と、二足歩行の黒猫の話です。
健気で何事にも一生懸命な黒猫が大変可愛らしいです。

全体的に暖かく柔らかい雰囲気のある文章ですが、特に食事時の描写は微笑ましく心地良い温度を感じます。

登場人物達は全員が心優しく、主人公の味覚を失ったのも優しさから始まっています。
十話で判明する主人公の味覚に関する事も原因とも言える黒猫に悪意は欠片もなく、始まりの呪いでさえ本当に純粋な優しさ故に涙が自然と出てきました。

十話以降も変わらずの穏やかでのどかな日常に、こちらもつられて穏やかで優しい気持ちになれます。

当たり前過ぎて意識しにくい『味』があるという事、相手を想う『優しさ』その大事さと尊さを教えてくれる物語です。

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