性格は正反対、相性は最高な二人の旅物語第二弾です。

シリーズ物ではありますが、この話から読んでも問題ないように書かれています。
世界観などは必要な場所で必要な事のみ説明が入るので話の腰が折れたり弛む事は一切なく、逆により深く物語に惹き込まれます。

話は『ある儀式の生贄にされようとしている少女』という不穏な空気から始まり、荒れはじめようとしている川のような不安を感じます。
話が進むにつれこの不安はどんどん増していきます。

雷韋は偶然この生贄の少女を助けますが、ここから話は一気に黒く不穏になります。

周囲の異変に気づきあるべき状態に戻したい雷韋、そんな感情的になっている雷韋に冷静に問題点を上げながらも行動する陸王、生贄の少女の村への思いなど全員の強い感情がぶつかり混ざり合います。
そこに村の真相も入り、まるで荒れ狂う川のような怒涛の展開が続きます。

最後は落ち着きを取り戻した川のように、静かでありながら悲しくも綺麗な終わりとなっています。

それぞれの思いがしっかり書かれているのでいつの間にかその登場人物達と同じ気持ちになり気づけば『物語を読んでいる』から『物語に入っている』ように感じる作品です。