健気でありながら芯の強いヒロインが清々しく…

 作者さまの作品を読むのは、『日ノ国物語』『アンティークショップ九十九(ツクモ)』に続いて、この『後宮の月恋歌』で3作目です。それから近況ノートの繁殖リタイヤ犬さくらちゃんと暮らす心温まるお話も、いつも楽しみに拝読しています。そして思うことは、作者さまの健気(けなげ)なものに対する、温かく優しい視線です。
 今回の作品も、後宮小説につきものの陰謀・粛清・嫉妬の中で、健気でありながら芯の強いヒロインが清々しく描かれています。イケメンの皇子がヒロインに惹かれるのも当然でしょう。ほんとうは、かりそめの夫婦である二人がめでたく結ばれて、可愛い子どもを授かるところまで読みたい気もしますが、(笑)、作者さまの狙い通り、読後は甘々じれじれの余韻に浸るのもいいかもしれませんね。
 後書きに書かれておられる番外編、楽しみにしています。
 

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