エデンの園で待ち合わせ

あらすじ

　＂身に余る幸せは破滅をもたらすよ＂

　小さな島に唯一ある上月神社の娘で巫女である小夜(さよ)は、幼い頃からそう教わって生きてきた。
　この神社には昔から女児が産まれにくく、小夜は待望の女児であったため、それはそれは大切に、そして「早く子をなせ」と言い聞かせられながら育てられた。それは直系血族の巫女から産まれる子には神通力が宿る、という昔からの言い伝えのためであった。

　そんな鳥籠のような自由がない家をこっそりと抜け出したある日、小夜は島の子供、倫太郎(りんたろう)と出会い、友達になった。
　快活で無邪気で裏表のない倫太郎に、小夜は一瞬で恋に落ちたが、倫太郎とは結ばれてはならぬ運命だ。倫太郎が私のことを友達として大切にしてくれるだけで幸せと、確かにそう思っていたのに。
　倫太…続きを読む