黒の野球帽は……

oxygendes

第1話

[ご注意:この物語に登場する人物の行動・思考は作者の想像の産物であり、現実の人物等に由来するものではありません。]


 おーい、あずまさん、こっちこっち。

 いやー、今日は惜しかった。九回ツーアウトまではあのままX勝ちとおもおとったんじゃけどねえ、あっこで……。まあ、それはしょおがない。そっちのパフォー〇ンスシートも盛り上がっとったけぇねえ。今日は負けたけど明日あさっては必ず……。

 それより約束どおり飲みにこおやぁ。話しとった広〇らしい焼き鳥屋に案内するけぇ。メニューが選手の名前になっとるんよ。牛バラが菊〇、笹身が鈴木〇也、合鴨がヒゲの木〇とかね。それと、飲み屋の会話で、主語が無かったらそこにはカー〇が入るけぇ、聞き直したりせんようにね。


 ほら、ここじゃ。なかなかよさげな雰囲気じゃろお。そおじゃ、悪いけどその黒の野球帽は脱いでくれんかね。わしのカバンにいれとくけぇ。

 え……、いや、かぶったまま店に入っても別にしばかれたりはせんよ、たぶん。じゃけど、今日は楽しゅう酒が飲みたいけぇ。

 なんてうたらええんかね、子供の頃、友達に親の悪口をさんざんうとっても、その友達に自分の親をわるう云われたら腹が立っとったじゃろお。あれと同じじゃ。カー〇ファンがカー〇を厳しくコメントするのはええんじゃが、ほかのチームのファンにそれをされるとちいと腹が立つんじゃ。

 監督の采配に対する辛口コメントは最高の酒の肴じゃけえね。特に今日みたいに負けた時は……。投手の替え時が悪いとか、長〇を代打に出しとけばとか、中村〇成をもっと試合で使ってやれとか。

 今日はそうゆう話をぎょうさんしたい気分なんじゃ。じゃけぇその帽子を……、おお、すまんね。

 じゃあ、店にはいろおかね。その前にもう一度、主語の無い会話はそこにカー〇が入っている、じゃけぇね。


                終わり

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