読むうちに文章はやがて映像と化し、その瞳の奥に上質な洋画を映しはじめる

「GWにホラー&サスペンス、あるいはミステリなどいかが」企画 BEST 5

愛憎絡み合う味わいの濃いサスペンスストーリー。

作者の卓越した筆致と情景描写により読み手はすぐに映像の世界へと導かれる。
また登場人物たちの心理描写も秀逸でそれぞれに潜む支配欲、嫉妬、逃避、諦観などの感情が生々しく伝わってくる。
そしてミステリの要素も含むその結末に読み手は奥歯を噛み、言葉を失いつつも、網膜に広がる美しい情景にきっと嘆息を漏らすはずだ。

すなわちこれはもはや読み物ではなく、素晴らしく出来の良い映画なのかもしれない。


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