父親の鼾を耳に見上げた星空は何故だろう、心に温かい何かを注いでくれた

那智風太郎プレゼンツ『真夏・夜』企画 入選作品

小学6年生。
気軽で楽しいはずの夏休み。
けれど日が経つにつれ、どういうわけか僕の心の空気は抜けていく。
自分でもよく分からない虚無感が押し寄せ、無気力のまま過ぎていく夏。

けれどそれを優しく儚げな熾火と街灯の光に遠慮する星の瞬きが癒してくれた。
汗と太陽と土の匂いが不思議な活力を与えてくれた。
そして僕の心はまたしっかりと膨らんでいく。

思春期に届きそうで届かない男の子の移ろい易い心情風景が巧みに描かれています。
またテンポの良い展開が読者の目を先へ先へと促してそれがとても心地よいです。

そういえばあの頃の自分はどんなことを考えて夏休みを過ごしていただろうか。

読了後、そんな風に遠き夏の日に想いを馳せてしまう作品でした。

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