水滸伝の悪が侠気を抱いて義を叫ぶ!……とか?

高俅さん、ご存じですか? 歴史上の大著作、水滸伝に出演する君側の奸。異世界ファンタジー風に言えば魔王格の存在。なのにそこはかとなく小物臭が漂う悪役。そんな高俅さんを主役に据えた物語と言う。
え? 正気ですか? と思いきや、予想外の侠気。かっこいいのです、彼が。

高俅と言えば、水滸伝ではせっせと有為の人材に手を出しては梁山泊に人を送り込む勤勉な奸物。
蛇蝎の如く嫌われ、いやいっそ台所でよく見る黒光りのする薄い奴のように疎まれる役。

しかし作者様により本作に転生させられた高俅さん。
気風が良く、棒術の腕は立ち、言動に筋が通っている。
天下の権を欲しいままにしている絶頂期の蔡京の暴挙が恩人蘇軾の関係者に累が及ぶとなれば敢然と立ち向かう。
その態度が、言動が、行動が、いちいち格好良いのです。特に最後の軍トップ同士の対決、見応えがあります。

そんな高俅さん、彼を一介のチンピラから名士に昇華したのが、題名にある東坡肉。美味しい豚肉料理。
歴史級の詩人、蘇軾の多彩さ、自由さ、そしてこだわり。それが高俅さんを救い、育てる。
そこに出てくる東坡肉が、物語に彩りを添えます。食べたくなります。
そんな蘇軾さんも、本物語での主役の一人。魅力的な人物として描かれます。必見です。

すみません。
紹介文のはずが、怪レビューになってしまいました。
作者様、お気に障りましたら、言っていただければ差し替えますのでお気軽にお声がけください。

こんな駄レビューをここまで読んで下さった心の広い方々、いかがでしょうか。
もし興味を持たれたなら、本作を覗いてみることをお勧めします。
決して長くなく、すいすいと先にすすむ物語。心地よい読後感を得られると思います。

いかがでしょうか。

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