推して、推されて、泡沫の愛

ベタのナナと人間のケント、住む世界も寿命も異なる種族が慈しみあって暮らした一年の記録。ガラスを隔てた交流の様子や魚と人という種族間ゆえの結末が切なく、澄明な余韻の残るお話でした。
水草の息吹から生まれた気泡が、音もなく水面で弾けるような。
しずけさのなかで紡がれるふたりの関係が、最後にすこしだけ表情を変える。その構成がとても美しかったです。