偉大なる大自然の力と迫りくる腹筋の危機

物語の始まりは、カナダの大自然。雄大なユーコン川を楽しむ父と息子……。そこへ、天変地異が起こります。
父は行方不明となり、辛くも助かった少年は、日本に帰ってから「もう一度あの場所へ行く!」と幼い心に決意を秘め、難関中学を目指して受験勉強に励みます。

この辺りで、黒須様作品のファンは作者名を確認したくなるでしょう。あれ、ずっとシリアスだぞ……?

でもご安心を。エピソードタイトルに不穏な影がさした頃から、コメディの奔流がやってきます。
特におっさんハムスター! 彼は以前の作品にも登場しますが(未読でも大丈夫)、まあ、こんなに立派になって……と感激するほどボケ担当として成長しています。たぶんお腹もやや育って、頭頂はやや退化。

一方、主人公の蒼仁くんは、こんな異常事態に巻き込まれながらも受験勉強は忘れません。大人たちよりシッカリ者かも。バトルに、勉強に、大忙し!(受験勉強のストレスは、ハムサンドで解消しましょう)

ときに感動するほど美しく、ときに牙をむいて人々を脅かす大自然。この作品はそんな自然界の二面性が、舞台背景としてだけでなく、バトルの中にも感じられます。昨今よく取り沙汰される異常気象や太陽嵐、動物との共生など、我々を取り巻く「自然」に思いを馳せたい物語です。

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