スローライフ……いや、これって冒険譚!?

北海道の小さな村に住む、作者様の祖父母の暮らしが四季を通して綴られたエッセイです。
田舎の村での「日常」の暮らし、スローライフ……いやいや、私にとっては、異世界冒険ファンタジーでした!

描かれるのは未知の連続。延々の豆とか、ホッケとか。リンゴ食えとか。ユーモラスな文章も相まって、小さな子供の頃の作者様の目線で異世界を冒険している気分です。
スターウォーズのイウォークだって、森の中で平和に「日常生活」していたでしょう? そういうことですよ(異論は認める)。
でも、きっと人によっては「ああ、なんだか懐かしい……」と感じるのでしょう。「郷愁」を感じる方にも、「異世界」を感じる方にも、楽しんでいただけるお話です。

そして思うのです。古典文学でも、日常の何気ない一コマを描いているところが文学のみならず歴史的資料としても貴重なものだったりしますが、この作品も、時を経てこうした田舎暮らしの様相が変貌し、失われていくにつれ、当時の「日常」を伝えるものとしても大切な作品となるのだろうと。

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