ありそうでなかった、ヤンキー×オカルト

呪いの人形に触れてしまったことからオカルト体質になり、怪異に巻き込まれていく主人公・一護。
人形の正体はあの「メリーさん」。
迫りくる恐怖に、なし崩し的に立ち向かわなければならなくなります。
一護はいわゆるヤンキー。立ち振る舞いも典型的なヤンキーのそれです。当然、怪異と対峙する時もいつもの姿勢を崩さないわけで……。
オカルトに立ち向かうヤンキーという設定がとても斬新だと思いました!

主人公の一護はヤンキーであるがゆえに、仲間意識が強い。行動力もあるので、妹やかかわった人を助ける方向に動きます。
その意気込みは、怪異であるメリーさんにも向けられます。
最初は順調に一護たちを追い詰めていくメリーさんですが、反撃を受けて身体を拘束され、まるでオークに捕まった姫騎士みたいに「くっ、殺せ」状態になります。
そんなメリーさんに「ここにずっといろよ。俺がお前を一生大事にしてやる」と手を差し伸べた一護。
いい奴ですね!! 胸が熱くなりました。

一護に続いて好きなのは蘆屋くんです。
彼の城である「カフェASIYA」がとにかく最高。

>くぎ、血染めの刃物、骨、人体模型、絶対飛び降りの現場にあったであろう靴の数々。
>お札をステッカーの様にペタペタと貼り付けた謎の箱が積まれていたり、カウンターの壁には端から端まで呪いの人形が、ぎっしり詰まっている。
>「死ね」とか誰かを呪うための言葉が書かれた絵馬が、至る所でぶら下がっている。
(第25話)

めちゃくちゃロックじゃないですか!!!! 「うわぁ〜、素敵なお店ですね〜」と褒めていた三雪ちゃん同様、私も非常に惹かれます。

その、私と感性が合いそうな三雪ちゃんですが、このお話の中で一番怖いと思ったのは彼女です。
ストーカーっぽいし、話は通じなさそうだし、一番敵に回したくないキャラ。
しかも、自分でオカルトの力を使っちゃう子ってホラー映画では真っ先にやられそうですが、三雪ちゃんはなんというか、粘り強い!
これも一つの愛の力なのでしょうか……?

基本的にはかかわった怪異を一護の行動力+ヤンキーのオラオラ上等パワーで跳ねのけていく形で、コミカルにお話が進むのですが、
第10話の「ダウト」はかなりホラー色が強め!
私が今まで見たり読んだりしたオカルト話の中でも最恐クラスだと思います。
そして、赤羽さんをめぐる一連の話は悲惨で、胸が締め付けられました。
赤い人と化した赤羽さんと対峙する中、ピンチになった一護をメリーさんが助けにくるシーンはとても感動。
序盤から向けられた一護のひたむきさが、メリーさんにもちゃんと通じていたんですね!!

最新『第36話 人間振り子②』まで拝読しました。
助けに入ったことで壊れてしまったメリーさんを直すため、バイトをはじめることになった一護。
同時に、同じ学校に通う女子・望月さんの妹が何かに憑かれていると知り、彼女を助けに向かう……というところまでお話が進んでいます。
ちらっと出てきた謎の紳士とメイドが気になるところ。
ありそうでなかったヤンキー×オカルトストーリー。
次なる展開に期待大です!

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