″つわもの″の生き様が心を打つ

一体何度、涙が溢れた事でしょう。

この物語は、源平合戦の時代を舞台にした本格歴史小説です。

武士の理、組織としての戦略、人の情、その狭間で生まれる葛藤、決断、愛が熱量たっぷりに綴られています。


主人公は、頼朝の麾下の老武者、大庭 景義(おおば かげよし)。
ふさふさした真っ白な眉毛と口ひげのおじいちゃんです。

え、誰? と思った方! 実は私もそうでした。
けれど、読み始めたらそんな事は全く問題無く、もうぐいぐいと物語世界に引き込まれました。


情景描写も素晴らしいのですが、登場人物達の会話シーンが秀逸です。

作者さん、その場に居合わせたのではなかろうか? 
と思うくらいリアルで、人々の表情や息遣いが伝わってきます。

日常でも戦場でも、子を、親を、兄弟を、主人を、部下を、それぞれが想う気持ちが強く伝わってきて何度も胸が震えました。


そして、ラストの

「生きよッ――」

主人公は景義しかあり得なかった! 
と感じる瞬間であり、読者にも勇気をくれる名場面です。

涙が止まらない……。


長いお話ですが、是非最後まで味わっていただきたい名作です。

お勧めです。どうぞ読んでみてください。

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