神話から読み解く異世界の在りよう
- ★★★ Excellent!!!
神話からはじまり、彼の地に根付く人々の暮らしや風習を追いながら、その文化的背景を読み解き、歴史の影に隠れた大罪を探す話
いわゆる物語・ストーリーの合間に、文化人類学あるいは民俗学のレポートを挟んでいくような、独特な筆致でした。
ファンタジー世界の設定をこうも興味深く読ませてくるのは凄いの一言。
設定というのは創作者の熱量が高まるほど読みにくくなりがちですが、この作品ではファタンジー世界の野外調査に参加しているような、不思議な高揚感があります。
変な話、物語はいいからもっとレポートを読ませろと言いたくなるくらい。
とはいえ、もちろん物語の骨格もしっかりしていて、ぐいぐい暗部に接近していく主人公たちの足並みに恐怖するばかり。
なぜか狩られる側の視点になっちゃいましたが、こんな能力があったら野外調査も楽だろうに……と、つい思ってしまう面白い作品でした。