一本目だけ読むと、古いB級ホラーのような悪趣味なグロさが主題なのか、と思えてしまう。
が、字話以降は読み進めると話のメインは、様々な形の死に接する人々の心の動き、だと分かる。
どれも単純でスッキリする類の話ではない。しかしそれが、生々しく、かつリアルな人物造形につながっている。
いわゆる後味が悪いタイプの短編集ではある。
苦手な人はとことん苦手かもしれない。
同時に好きな人はとことん好きだともいえる。
私的にはシノロク~シノハチが分かりやすくて面白いと思う。シノクも、淡白な心理描写が、グロテスクさを強調している。
兎にも角にも文章の流れが気持ちいい。単純にリズムが合ったということかもしれないが、文の調子はオススメできる一品です。