第4話 エピローグ

数日後、僕はゼロワンプロモーションの事務所に呼び出された。事務所一のスカウトマンを蹴り飛ばしたのだ、タダでは済まないだろう。


僕は恐怖に震えながら指定された部屋に入った。


コンコンコンッ


「失礼します……」


「おお、佐藤くんか」


そこに居たのは東郷康隆本人だった。心臓が縮み上がった。


「この度は大変申し訳ありませんでした! ……あの、お怪我の方は?」


「なにをいう、あの程度じゃくたばらんよ。私は何度でも復活するからね」


そう言って東郷はにやりと笑った。


「それでだな、君の役者としての対応は少々強引ではあったが、そのガッツは認めようと思うのだよ」


いまいち意図がわからず僕はポカンとしていた。


「つまりだな、佐藤くん。我々の事務所に俳優として所属しないか?」


まるで地獄から天国のようだ。思いもよらない展開に、僕の気持ちは舞い上がった。


「本当ですか?! ぜひお願いします!」


「ただし条件がある」


「俳優ができるならなんでもします!」


「一発蹴らせてくれないか?」


「えっ」


次の瞬間、胸に強い衝撃があったかと思うと、身体が華麗に宙を待っていた。


蹴り飛ばされるその刹那、僕は思った。



負けず嫌いは本当だったんかい。

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ヒーローショーなのにいつまで経っても怪人役がやられてくれないんだが 結城熊雄 @yuki_kumao

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