誰のために生きるのか

 南朝の軍師・北畠親房の臨終の一言、「年明けこそ鬼笑う」。この言葉を実現させるかのように、南朝側の足利直冬は、実父の尊氏が君臨する北朝へ攻め入ることを計画していた。
 南北朝統一前夜に起きた争いを、足利家にクローズアップして描いた歴史ドラマ。歴史のうねりの一つとは言え、個々人の心境を細やかに描いているため、それぞれに感情移入します。
 作中で描かれるのは、血の繋がりや共に過ごした時間も関係なく、裏切ることも当たり前な殺伐とした時代です。生死に繋がる選択肢を前にした時の指標の一つとして、尊氏の言葉は非常に印象的でした。

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