憎悪でも怨嗟でもなく、ただただ客観的・蓋然的事実を無感情に上空から叩きつけてくるのが恐ろしいです。彼が言うようにいつでも隣にいるにも関わらず、その獰猛な爪を意識することがないというのが死なのかもしれません。不吉や墓場の象徴とされるカラスですが、こんなときばかりはその汚名を雪ぎたくもなるものでしょうね。
所詮人間もひ弱な存在にすぎないということでしょうか…?
人間だから近しい人が亡くなったことに対して、悲しみとか無力感とか怒りとか畏れとかを感じる。では人ではないならどう思うのだろう?この作品は日常とその終わりとをさらりと語る。
四百字ちょっとでまとめられたショートショート。可愛い語り口で始まった物語は、悲しい展開へ……。やがてどことなくゾクゾクする寒い終わりを迎える。カラスのセリフ、言葉のリズムがなんとも言えない不気…続きを読む
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